劇場版テレクラキャノンボール2013を毎日観に行っていた日記。

同じ映画を繰り返し観に行く、愛と狂気の日々の記録。

7月10日。41回目。トークゲストは町山広美さん。

 ポレポレ東中野での上映18日目。トークショーの出演は放送作家町山広美さん。

 この日は台風8号が関東地方に接近しているという事で、テレビのニュースでもずっとその話題。NHKのクロ現も中止になって台風情報を放送していました。「今夜は不要不急の外出は控えて下さい」と呼びかけるアナウンサー、そして段々強くなっていく風の音。…高まってきたあああぁぁぁぁあああ!

 という事でレインポンチョを装備し、自転車で東中野へ向かいました。が!思ったより台風は盛り上がってなくて、椎名町辺りに差し掛かる頃には雨も止み、風がちょっと強いなぁ、くらいの天候。すんなり東中野に到着してしまってちょっとガッカリ。

 開演30分前に受付して35番でした。テレビで「不要不急の外出は控えて下さい」ってあんなに呼びかけてたのに30分前の時点で既にこの番号!

 開場。整理番号は50番台まで呼び出してました。台風だしガラガラかなぁと思ってたんですが、結構お客さんいらっしゃってましたね。前から3列目の中央寄りに座っていたのですが、片側が空席だったのでゆったり観られるって雰囲気で快適でした。

 

 上映後、休憩を挟んでトークショー。以下、トークショーの内容メモ。

・ 最初はネタバレに関するお話(内容は省略します)。


・ 町山さんと松尾監督はこの日が初対面だったそうです。

 

・ トークショーの前に少しお喋りした時に発覚したという同じ会社の同僚だったかもというお話。松尾監督が映像の専門学校を卒業し、その後最初に勤めたテレビ制作会社の採用試験を町山さんも受けていて、合格していたそうです。
 町山さんはタモリ倶楽部かモンティパイソンのスタッフロールに出てくる会社に勤めたかったのでその会社を受験したとの事。


・ 町山さんがテレビ制作会社でADをされていた時の話。番組の中でパンツを見せてくる仕込の女性が必要になり、ディスコなどで色んな女性に声をかけまくり、出てくれる女性を探し回った経験を『ミニミニキャノンボール』と例えてらっしゃいました。


・ テレクラキャノンボールという企画について。『旅を重ねながら段々狂気を育てていく』『山下とみのるがトリックスター』だと語る松尾監督。


・ 町山さんが今、ナンシー関さんの展覧会(ナンシー関展「顔面遊園地」東京では渋谷パルコで11月14日から開催されるそうです)に関係するお仕事をしていて、色々な資料を見ていたらナンシーさんとバクシーシ山下監督が対談をしていたという記事を見つけた、というお話から山下監督のお話。

 松尾監督「山下は何かを指示する監督ではない。(特異な状況に演者を)放り込んでほっとく。それで何が起きるかを撮れる監督」


・ 町山さんが浅草橋ヤング洋品店を担当していた時のお話から、90年代のテレビとAVの近さについて。

 浅ヤンでは根元敬さんホームレスをいじる企画などをやっていたが放送はされなかった。バクシーシ山下監督も山谷にAV女優を連れて行ってそこでAVを撮ったりしていた。

 町山さんはほとんどAVをご覧になられないそうですが、テレビ番組の企画会議でAVの話がよく出てくるので情報としては沢山の事を知っている状態になっていた、との事。 


・ 世の中にハンディカムが出てきた時、テレビ製作の場では、画質が放送の基準にひっかかって(出回り始めた頃のハンディカムの映像はテレビで流せるレベルの画質ではなかった)使えなかった。しかしAVでは使えた。

 

・ AVのカメラとテレビのカメラの違いについて。

町山さん「(ハメ撮りをしている時に)画角がビシッと決まるのが凄い」

 平野監督の映画、監督失格で、玄関にポンと置いただけのカメラにあらゆる色んな情報が撮れていたのを見たテレビ関係の人は、あまりにも完璧に撮れているのでノンフィクションだと信じられなかったりしたそうです。

松尾監督「テレビの大きなカメラでは撮れないものかハンディカムで撮れる」

 山下監督の札幌2日目のハメ撮りの最後のシーンの奇跡について。あそこでメガネがああいう風に写るのは本当に奇跡的。

 

・ めちゃイケキャノンボールインスパイア企画のお話。

 矢部さんがVTR見ながらダメだしをしている中に敬語についての話が出てくる。矢部さんはずっと「敬語で言え」と言っている事。

 町山さんが松尾監督が一貫して女性に敬語を使っている事について聞くと、松尾監督は「自分は名古屋の方言があるので標準語は敬語しか喋れないからどうしてもああいう感じになる」と答えてらっしゃいました。

 

・ 梁井監督はふわっとしている感じで横並びで撮れる才能がある。カップルとも正面で撮ってやろうというのではなく一緒に楽しみましょうという感じで撮れる。自分は正対して撮ってしまう。

 今回は奇天烈な出会いをしている援助交際の関係なのに、色々な物を撮れてしまっている(みちる監督の事後のタバコのシーンなど)。人間セックスすると、その場では変に色々許してしまう、それが撮れているのが好きで気に入っている。

 

・ 町山さん「今回の出演者はみんな自分を守っていない。そういう自分を守っていない人を見る喜びがこの映画にはある」

  松尾監督「AVを撮る時、自分が脱がせてるんだけど、自分から先に脱がないといけないっていう意識をAV監督は持っているんですよ」

  「TVとか映画と違って『自分はここから先には行きませんよ』という事は出来ない。自分が一番最初にパンツを下ろす勢いで口説かないと、相手に伝わらないし、相手にも失礼。だから、みんな覚悟が出来ちゃってる人間なんですよ」

 

・ 今回たまたまこういう風に劇場で公開するという機会を得たというお話から、みんなで劇場で観てたら笑っちゃうシーンでも、個別で見たらどう思うか、女性蔑視と受け取られないかと不安だったと松尾監督が仰られたのを受けて、町山さんが「出てくる女性たちがみんな自分の立ちたい立ち位置に立っているから不快感がない」と答えられてました。

 

・ 町山さん「テレクラキャノンボールのシリーズはちゃんとルールがあるから下手に物語を作らないじゃないですか。私達テレビの人間はちょっといい感じに纏めよう、ストーリーを作ってしまおうとしてしまう。前振りを作って、最後のセックスが綺麗になるようにみたいに作ってしまうと思う。そういう繋ぎ方をしていないというのも気持ちよく観れる理由になっていると思う」