劇場版テレクラキャノンボール2013を毎日観に行っていた日記。

同じ映画を繰り返し観に行く、愛と狂気の日々の記録。

11月24日。102回目。TAMA CINEMA FORUM 男と女のロードムービー ―SUMMER TRIBE オレらは誰にも止められない―

  多摩映画祭で劇場版テレクラキャノンボール2013が上映されるというので行ってきました。平野監督の由美香と2本立てでの上映ですよー。

上映作品

男と女のロードムービー ――SUMMER TRIBE オレらは誰にも止められない―― | 第24回映画祭TAMA CINEMA FORUM

11月24日(月・祝)ベルブホール 第2部

15:00-17:18
由美香
17:30-19:42
劇場版 テレクラキャノンボール2013
19:50-20:30
トーク
ゲスト:平野勝之監督、カンパニー松尾監督、九龍ジョー氏(編集者/ライター)

チケット料金

  • 一般 前売:1,200円 / 当日:1,400円

 新宿から電車に乗って京王永山駅へ。

 改札を出た所に今回の映画祭の看板が出てました。

 駅から徒歩数分、ベルブ永山に到着です。 

 ベルブ永山は多摩市の公民館で、同じ建物に図書館が入っていたりします。

 本日の催し物。

 エレベーターでベルブホールのある5階へ。降りた後は案内に沿って進みます。…個別指導塾などのテナントも入っているんですね。

 行列発見!

 私が到着した頃にちょうど開場時間になっていたのでそのまま入場。映画祭のスタッフの方は地元のお年寄りらしき方もいらしたりと、公共施設での催し物らしい雰囲気。

 この日のスケジュールが入口脇のホワイトボードに書かれていました。

 開場中には今回の映画祭の告知映像が流れていました。

 ファミリーデーではアナ雪やコナン、しんちゃんが上映されたようですね。

 同じ日にホドロフスキー特集。…幅広いラインナップ!

 

 開演時間の15時になりました。まず、映画祭のスタッフの方の挨拶。由美香の上映にあたって関連する詩を朗読されたりしてました。

 その後、由美香の上映、休憩を挟んで劇場版テレクラキャノンボール2013の上映。もう1度休憩を挟んでトークショー

 休憩時間にトークショーのセッティング。机と椅子だけでなく、お花まで用意されております。

 

 トークショー開始。最初にスタッフの方がゲストの3人を呼び込み。その後、九龍ジョーさんが松尾監督と平野監督を紹介。以下、トークショーの内容メモ。

・ まず最初にネタバレについてのお話(内容は省略します)。

・ 九龍さんが最初に由美香を観たのが98年の多摩映画祭でこの会場だったそうです。AVが劇場公開された最初の作品だという話から映画とAVについてのお話。

 平野監督はたまにバイトでAVの編集の仕事をしてらっしゃるそうなんですが、松尾監督の作品の編集をしてたら驚くような撮影のテクニックを使っているのでとても敵わないなぁと思った、というAVの撮影時のお話をしていたら「映画祭でそんな話していいんですか?」と松尾監督が軌道修正。『ハンディカムで撮影した映画』についてのお話へ。

 由美香の中でも由美香さんがカメラを回して撮影しているシーンが使われているのですが、そういう風に監督不在でもカメラが回って素材が撮影されてしまう事やアングルの自由度について喋った後に「…ちょっと映画的な事も言っておかないとね」と松尾監督。

・ ハンディカムでたまたま撮れてしまった映像は監督が考えてカットを割った映像より強烈でとんでもないモノが『撮れてしまう』。

・ 平野監督も今回のテレクラキャノンボール2013の編集を手伝ったという話(みのる監督と山下監督の素材を全編見てるのは俺だけだ!と仰ってました)から今回の作品について。

 「これは志(こころざし)の問題だ」。18~9年前にこういうような事をみんなでやっていたのだが、最近は出来なくなっている。

・ 松尾監督は(由美香含めて)AVが劇場でかかる事をあんまり良いとは思ってなかったし、興味もなかったというお話。実は由美香も観てなかったそうです。

・ 由美香とキャノンボール2013に共通するある重要なルールの発案者は実はどっちもバクシーシ山下監督だというお話(ネタバレに関する事なので内容は省略します)。

・ 平野監督と松尾監督が初めて会った時のお話。松尾監督が由美香さんとお付き合いされている時、一緒に映画館にドゥ・ザ・ライト・シングを観に行ったそうです。その時、由美香さんが「あー!知り合いが居る!」と近くに居た男性の所に走って行ったそうで、その由美香さんが走って行った相手が平野監督。

 同じ業界に居て、同じAV監督をやっていたのにその時点ではまだ会った事が無く、いきなり林由美香を介在して出会った。その直前に平野監督のAVデビュー作を由美香さん主演で撮っていて、由美香さんは松尾監督に「こないだ変な現場があった、街中で変な格好をさせられて…」というお話をしていたそうです。

 「僕から見れば(由美香さんと親しげだった平野監督は)ナンダあいつ、という感じだった」それから半年か1年後に松尾監督と平野監督はV&Rのプロデューサーと外部監督として出会い、仕事をするようになって水戸拷問が出来上がったという事でした。ってか水戸拷問のプロデューサーって松尾監督だったんですね。

・ 九龍さんの「平野監督は以前、由美香を撮る前に『松尾監督と由美香さんがかつてお付き合いしていた事に対する嫉妬はないが、由美香さんが松尾監督の作品を凄く評価していて信頼関係がある、そういう作り手と女優の関係に対する嫉妬はある』というお話をされていたのですが」という振りから当時の平野監督の心境のお話。

 平野監督「その時は松尾くんはハメ撮りでブイブイいわせてて、ゴールドマンも凄くて、山下くんも女犯なんかを撮って話題になってて、由美香もスターでキランキランしていた。そんな中、自分は新人監督で1作目で由美香に変な格好をさせたりして失敗したなぁと思ってて、このままじゃあ終わんねぇぞと」「エロビデオくらい面白いモノ作れないと他行ってもダメだなぁとというのがあった」

・当時の過激なAVシーンについて。「話を聞くと過激だけど実際に観てみるとポップですよね」という九龍さんに対して「それは年月が経ったからですよ!」と松尾監督。

 当時はインターネットもなかったのでユーザーの声が一切聞こえて来なかった。変な作品を作っていても批評もされなければ絶賛もされない。「無風ですよ。無風」当時はAV業界も右肩上がりで誰もそんな事(山下監督や平野監督が過激なAVを作っていた事)にかまってなくて、無風のまま端っこでぬくぬくと誰にも妨害されずにやっていけてた。今だったらもっと風が当たるような事もあったかも知れない。

 平野監督「怖いモノは何もなかった」

 V&Rの安達監督は1千万円使ってスカトロ物の作品を撮って全然売れない、というような事を繰り返していて、そんな社長を見ていたので「何をやってもいいんじゃないか」と思ってやっていたそうです。

・ 由美香が劇場公開された時のお話。「バカウケはしなかったけれどもレイトショーでそこそこお客さんは入っていた。次の流れ者図鑑もお客さんは入っていた。しかし白 THE WHITEは張り切り過ぎて正月ロードショーをしたので失敗した。」

 平野監督「白 THE WHITEは自分が観たくて作った。由美香は林由美香が60歳くらいのババアになった時に『アハハ、若い時にこんな事もやったわね』と言って観てくれる為だけに作った」

・ 由美香が何故劇場でかかる事になったか?という松尾監督の質問から、この作品が出来るまでのお話。

 AVを6年ほど撮り続けていた平野監督がそろそろ映画を撮りたいなという事でカメラを1台持って自転車で全国をブラブラする、という企画を構想していて、それをプロデューサーの安岡(卓治)さんに渋谷の飲み屋で話したりしていた。でも、どういう映画になるか解らないし、お金をどっから持ってこようか、という所で止まっていて、じゃあその前にAVに区切りをつける作品を撮ろうという話に。平野監督のデビュー作が林由美香だったので、最後にもう1度林由美香を撮ったら綺麗じゃないかという話だったのだけれども、由美香が「(自転車旅行の撮影に)私も行く!」と言い出して。由美香が出るんだったらAVとしてお金が出るんじゃないかとV&Rに企画を持って行って、出来上がったのがわくわく不倫旅行だそうです。

・ 劇場公開されたAVの話で梶俊吾監督の駅弁という作品についての話を「あー脱線する!でも言いたい」とちょっとだけ喋る松尾監督。松尾監督が語っていた話を聞いてるのは面白かったのですが、実際に観るとツラそうな感じの作品っすねぇw

・ 平野監督「最近のエロビデオは酷い。(作っている人達が)誰も何も信じていないんですから。何の作家意識も無い」

・ 11月18日が由美香さんのお母さんの命日だという事で、そのタイミングでこの上映が出来た事が嬉しいというお話から、由美香ママにまつわるエピソード。めっちゃエエ話なんですが、ネタバレに関するお話なので内容は省略します。

 ・ 松尾監督「林由美香が僕の初恋の相手で。林由美香に恋したから僕はハメ撮りをしてるんですよ。林由美香を好きになったけど届かなかったから自分でハメ撮りをするようになったんです」

・ 質問タイム。1つ目の質問「林由美香さんは色々なクリエーターさんに刺激を与えた女性だったようですが、一言で言うとどういう女性だったのですか?」

 平野監督「ただの酔っ払いです」

 松尾監督「(由美香さんに)女っていうのを教わっちゃいましたねぇ。俺は由美香の事が凄く好きだったんですけど、最終的に振られてるんですよね。自分が女の人をいくら好きになっても、女の人の気持ちは動かせないんだなぁと思ったんですよね。由美香は他の男をずっと好きだったんですよ。あぁこれはダメなんだと思って。その時に凄く教えて貰ったんですよ。そっから俺は人の心を自分の気持ちによって動かそうという事は止めようと思っちゃいましたからね。俺にとっては良かったと思いますよ、フラれて」

・ 2つ目の質問「今回上映された2作品とも、監督が回していないカメラの映像が使われていますが、監督の立場から自分以外の人が撮った映像を使う時の心境などを教えて下さい」

 映画のカメラとハンディカムの撮れる映像の違いについて。平野監督「ハンディカムが監督の意思と関係ない所でドンドン勝手に映像を撮ってしまう怖さを監督失格で味わった」

・ 告知コーナーが終わってお三方が一旦退場しようとしていらっしゃったのですが、最後に映画祭のスタッフの方からの花束贈呈コーナーが。

 そんなこんなでイベント終了。

 この日はホールに元からある座席の他に、その座席の前のスペースに補助席的な椅子が2列並べられておりました。渋谷とも東中野とも違う感じの地元のお客さんも沢山来られていて、満員になっておりました。

 駅と会場の間にあった広場ではクリスマスイルミネーションが。もうすぐ今年も終わりですね。