劇場版テレクラキャノンボール2013を毎日観に行っていた日記。

同じ映画を繰り返し観に行く、愛と狂気の日々の記録。

6月8日。122回目。ロサなりのテレクラキャノンボール3日目。

  ロサなりのテレクラキャノンボール3日目です。

  いよいよ今週金曜日までという表示が。そういえばそろそろ折り返し地点ですね。1週間は早いっす。

 この日は4列目の中央で鑑賞。

 上映終了後、トークショー。

●6/8(月) トークショー
ゲスト:松江哲明(映画監督)×タートル今田監督

 以下内容メモ。

 最初に岩淵弘樹監督が登場。「えー、ワタクシ本日トークショーの司会を務めます岩淵と申します」

・ 岩淵監督、今田監督と松江監督呼び込み。それぞれが名前を名乗った後、今田監督から岩淵監督の紹介「えーウチの新入社員…社員じゃないか。バイトの岩淵です」

 

・ 岩淵監督「ではですね、トークショー始めさせて頂きます。慣れない司会なんですけど宜しくお願い致します。まずはタートル今田監督が誕生した原因は松江監督にあると伺ったのですが、その辺のいきさつをお願いします」

 今田監督「僕と松江さんは日本映画学校出身で、僕の卒業制作で熊笹の遺言ってのを撮った時にスゴク褒めてくれたり、雑誌とかにも書いてくれて。それで、何となく松江さんのメイキングの手伝いとかもするようになって」

 岩淵監督「何のメイキングですか?」

 今田監督「園子温さんのヤツ(奇妙なサーカス)とか」

 松江監督「あとHMJMで松尾さんが豊田道倫さんのPVを撮った時、グッバイ・メロディの時とかに現場に来て。僕はあんまり後輩と付き合ったりする事は無いんですけど、映画学校の後輩で唯一付き合いのあるのが今田」

 今田監督「…初めて知ったんですけど」

 松江監督「人付き合いあんま良くないし、友達も居ないから」

※その夜、アキヒトさんがこのようなツイートをされてました。

 

・ 岩淵監督「何故今田さんをAVというかHMJMに?」

 松江監督「ちょうどその時HMJMがオリジナルの紙ジャケットのDVDを出してて、僕も監督をしたんですけど、その時期にHMJMが社員を募集してたんです。で、僕社員でやりたいですって言ったんですけど松尾さんがお前はフリーの方がいいよって」

 今田監督「断られたんだ」

 松江監督「断られたんです。松尾さんに『松江は自分一人でも出来るから。毎朝10時にHMJMに来て机の整理とかしない方がイイよ。フリーでやれ』って言われて。で、他に誰かいないかって聞かれて、それじゃ後輩で1人いますよって紹介したんです」

 

・ 松江監督「僕、人を見る目があるんですよ。この人はこれが合うなって。今、コワすぎとかやってる白石晃士 くんをフェイクドキュメンタリーというか呪いのビデオに誘ったのも僕だし。僕が呪いのビデオやってる時に『誰か出来る人居ない?』って聞かれて、僕より凄い人居ますよって言って紹介したのが白石くんだったり。山下(敦弘)くんと初めて会った時もこの人が日本映画を引っ張っていくんだと思ったし。で、今田は絶対HMJMに合うなと思って」

 

・ 松江監督「まず僕、今田が素晴らしいと思ったのは理屈っぽく無いんですよね。頭でっかちじゃなくって。ドキュメンタリーに関わってる人って理屈っぽい人が多くて。でも、ハンディカムで撮るドキュメンタリーとか、ましてや松尾さんが撮ってるドキュメンタリーなんか、人が居てぶつかる所から始まるのに、意外とそれをしない人が多くて。口だけ番長が多いんですよ。でも今田は違うから。人に対しての好奇心が強いし、もう1つはAVに対する偏見が無かった。僕の家でAVを見せた時も凄く面白がってくれて」

 今田監督「ずっと観てましたね」

 松江監督「俺寝てんのに観てたね」

 岩淵監督「松江さんの家に今田さんが来てずっと観てたんですか?」

 松江監督「そうそう。2001年テレクラの旅とか」

 今田監督「それも観たし、俺多分テレキャノを最初に観たのは松江さんの家だと思う」

 岩淵監督「それがまさか出場者になるとは」

 

・ 松江監督「僕はねぇ、タートル今田になってビックリしたよ。皆さん(今田監督の作品を)観た事あります?テレキャノでも片鱗は見せてるんですけど。アバンチュールという言葉がこんなに似合う男になるとはねぇ。松江さん松江さんって言って車を運転してくれていたりした日本映画学校の可愛い後輩の今田がね。もうタートル今田なんですよ、DVDを観てると。もうあなたの妻大丈夫ですか?みたいな男になるとは思わないですよ」

 今田監督「僕も思ってなかったですよ」

 松江監督「スゴイよね。スゴイ才能を開花させたよね」

 今田監督「最初俺HMJM入る時はハメ撮りしないって言ってたんですよ。何故かって言うと、ハメ撮りの夜明けの2か3か何かで松江さんがやってたじゃないですか。スッゴイ汗だくでさぁ。それ観て『コレは無理だな』と」

 松江監督「でもHMJM入ると絶対ハメ撮りするだろうなって思った。HMJMの部活っぽい感じというか。部室なんですよHMJMって。皆さん観てお分かりの通り、会議がスゴイ楽しそうじゃないですか。HMJMってあんな感じだよね」

 今田監督「そうですね。いまだにみんなあの会議する所で夕食とったりとか」

 松江監督「今でもあれでしょ?みんなでワイルドスピード観たりしてんでしょ?」

 今田監督「会社で映画とかは最近観てないですけど。映画館にみんなで行ったりは」

 松江監督「一緒じゃん!仲良しじゃん」

 岩淵監督「いつも一緒に夕飯を食べて、そのまま雑談に入って1時間とか長くて2時間とかそのまま…」

 

・ 松江監督「僕テレキャノのトークショー何回も出てるんで、もうあんまり話する事ないんですけど、でも、タートル今田の身体の張り方は紹介した身の僕としては感動しますね。人に優しいというか、格好つけないで人に接するから」

 岩淵監督「最後の巨漢の女性も良い顔してましたもんね」

 今田監督「(あの女性は)可愛かったですよ。みんな笑ってますけど」

 松江監督「でもああいう接し方した方がイイよね。勉強になるよね。AVなんてって人いると思うけど、絶対タートル今田の真似したらモテるよ。松尾さんって結構冷たいからね。カレーとかでも食べたらパッと出ていくしね」

 

・ 岩淵監督が松尾監督からHMJMで働かないかと誘われたのは岩淵監督の結婚式の2日後だったそうです。

 松江監督「でも奥さんも(ハメ撮りするようになることを)覚悟してると思うよ。HMJMの中に居ると絶対影響受けちゃうよね。次のテレキャノではねぇ、バイクでこうやって地面すれすれで撮影したりするんだよ」

 今田監督「俺も30過ぎてバイクの免許取った。それまではバイク乗ってカッコつけてる人とか嫌いだった。アキヒトさんの後ろとか乗っちゃうと…」

 松江監督「俺もアキヒトさんの後ろ乗って楽しいってなった」

 今田監督「好きになっちゃう、みたいな」

 

・ 松江監督「HMJMの雰囲気が撮影にも編集にも映っちゃってるし。松尾さんがテレキャノでこんなにお客さん来るとは思わなかったっていうのは解るんですよ。スゴイ主観の物っていうか、松尾さんが好きなモノ。だって普通さぁ、ナレーション早送りとかしないじゃん。録り直せよとか編集変えろよって思うじゃん。松尾さんは早回しにしちゃう人なんだよね。『これは早回しにするもんなんだ』ってのがお客さんとの共犯関係になってて、『これを理解しないとこの先観れない』みたいな。実はそういう風にして、お客さんと共犯関係を結ぶのが映画なんですよね。だから(テレキャノは)映画じゃないんだけど映画っぽい。それが1年半経っても劇場でかかってる理由かなぁと思います」

 

 ・ 松江監督が今日来る時に見かけた、ラブホテルから出て来たカップルじゃない雰囲気の男女のお話。

※そのお話をツイートされてたので貼っておきます。

 松江監督「今日トークショーやる前にこういう場面を見たのも偶然じゃない。この人は絶対タートル今田作品を観てる!と。AVを観て、どんな女性にも感謝を伝えてって。そうするとね、女性スゴイ良い顔してたもん」

 

・ 松江監督「松尾さん(の女性に対する態度など)と比べて衝撃だったもん。タートル今田って文法が確立したのは『優しさ』だもん」

 今田監督「会社入って最初に気付くのは、松尾さんって結構冷たい。女の子に対しても。入社してすぐは(松尾さんの素材の)編集とかするんですけど、その時、自分だったらこうはしないなとか思いながらやってた」

 

・ 岩淵監督「今田さんは(撮影してくる)素材が多いんですよね。松尾さんの倍くらいある」

 今田監督「酔っぱらって寝ちゃってる時もずっと回ってたりするからね。切り忘れたりしてるんで。割と決めうちじゃない所で撮って行きたいなっていうのもあって」

 松江監督「心が大変じゃない?絶対相手が好きになってるってのもあるからさ。自分も好きになってる訳でしょ?」

 今田監督「だから一時期大変でした。困った感じになってた時期もありましたからね」

 松江監督「作品観てメール送ったけど、もう結婚すりゃいいじゃんって。AV観た感想が『結婚すりゃいいじゃん』だよ。婚前旅行に見えるんだもん。女優さんとの」

 今田監督「最近はおじさんになってきたんでもうちょっとドライになったんですけど、昔は1本1本その人と結婚する気で撮ってました」

 

・ 松江監督「テレキャノは1人1人ちゃんと見えるのが凄いよね。だから松尾さんは客観的に皆の事を見れてるのかなって。だって松尾さんが編集してるのに、バクシーシ山下の編集みたいに見える。すごいドライな。あとビーバップみのるの世界にもなるというか」

 

・ 岩淵監督「今田さんは(テレクラキャノンボール2013の)編集段階で何か意見をしたりとかはあったんですか?」

今田監督「いやないよ。全部渡しちゃうだけ。あーでも自分の分のNG抜き位はやった。梁井に関しても自分の分(のNG抜き)はやったし、平野さんがバク山さんのとみのるのはやってた。NG抜きしても、1人の監督当たり4時間とか5時間とかあって、全部合わせると24時間とかあって、それを松尾さんがあの(作中で)会議をやってた席の奥で一人で寝泊まりしながらずっと編集してて。もう出来ねぇんじゃないかと思う位やってましたよ」

 

・ 松江監督が自分の作品の編集を専門の方に任せているというお話に。

松江監督「俺もう編集とか出来ないモン。やだやだ。赤羽とかフラッシュバックメモリーズとかも全部任せてる」

岩淵監督「松江さんが編集任せるときってどういう指示というか、ドキュメンタリーの編集を任せるんですか?」

松江監督「今やって貰ってる今井(大介)さんっていう人は、最初に神聖かまってちゃんのドキュメンタリーをやった時は結構細かく打ち合わせをして。その時僕はドイツに行っていたから、データを送って貰って『こういう間を生かしてください』とか細かくやって。でもフラッシュバックメモリーズなんかは何にも言わないで。構成表1枚送って、打ち合わせしたかしないかで。で、だいたいこういう風に…で解りましたって。赤羽も今井さんで」

今田監督「俺(最近の作品を観て)『やっぱり松江さんっぽい編集だ』って思ってた」

岩淵監督「赤羽とか間が独特じゃないですか」

松江監督「それを解ってくれるから。その人が編集やると最初の編集で8割9割出来ちゃってて。テロップのタイミングとか言葉は僕が考えて。でもその人が『紹介する時はストップモーションで』とか好みは全部解ってる。ドキュメンタリーの編集ってやれる事限られてるから、劇映画みたいな編集と違う。その人はすごいやりやすくて、今はめんどくさいから自分一人ではやりたくないですね」

今田監督「自分で編集してるのかと思ってた」

松江監督「それはよく言われる。『童貞。をプロデュースの時から変わんないね』って言われるんですけど、僕は一切人に任せて、後ろでハッピーターンとか食べてる。イッチョマエにムカつく監督になりましたよ」

 

・ 岩淵監督「松江さんって良いお客さんになってくれるんですよね。僕が作ってたモノに対して笑ってほしい所で笑ってくれるし、それは励みになりますね」

松江監督「編集ってそうだよね。作ってる時は迷うから。ウンともスンとも言わないプロデューサーとか居るじゃん」

岩淵監督「居るんですかそんな人」

今田監督「いっぱいいるじゃん」

 

・ 今田監督「俺最初にAVの現場に行ったのは松江さんのAVオープンの、24REALSEX。松江組が何故か俺のHMJMの最初の現場。懐かしいですね」

岩淵監督「松江さんのHMJMの作品は今でもサイトで観れますからね」

松江監督「そうですね。うちの奥さん以外は皆さん観てください」

今田監督「双子でDON!とか面白いですからね」

 

・ 松江監督「テレキャノの話に戻すと、テレキャノの10時間版をHMJMの人以外で最初に観たのもBiSキャノを最初に観たのも僕で。それで(松尾監督は)感想を聞いてくれるんですよ。BiSキャノは公開1週間前だったんですけど、ココは編集変えてあるんじゃないかという所があったから『ココは最初に戻した方がいいんじゃないですか』って言ったら上映1週間前なのに変えちゃって。すごく意見を聞いてくださるというか。…大人で居ないって!そんな人。意地はっちゃうもん」

岩淵監督「松江さんもよくそれ言えますね」

松江監督「だって嘘言ってもバレるもん」

今田監督「松尾さんは意外と人の意見聞きますね」

松江監督「内心怒ってるみたいだけど」

今田監督「松江さんはね、ズバズバ言い過ぎるんですよ」

松江監督「昔、パラダイスオブトーキョーってAVで、コレ是非皆さんも観て欲しいんですけど。劇場公開やってもイイ位のホントに素晴らしい作品があって、その荒編を観て『面白いんですけど松尾さん冷たすぎっすね。テロップが足りないですよ』って言ったら、ほぼ完成形だったのに直したもん。テロップをすごい足して」

今田監督「僕が入る前に撮られた作品なんですけど、観て『松尾さんウェッティだなぁ』と思ってた」

松江監督「あれ最初凄いドライだったの。『松尾節が無いっすね』って言ったら直してくれて」

 

・ 松江監督「あんまり松尾さん褒めないからね。フラッシュバックメモリーズ観ても『お前監督してんなぁ』とかしか言わないもん。良い悪いを言わない。『監督しててムカつく』とかしか言わない」

今田監督「あれは松尾さんがこんなんやったらいいんじゃないかと思ってたような企画を松江さんが先にやっちゃうから。ライブテープとかも『ああいう事やりてぇな』と」

松江監督「思ってたんだ」

今田監督「言っちゃっていいのか解んないんだけど」

松江監督「初めて聞いた」

岩淵監督「大阪の上映あったじゃないですか。ライブテープと豊田道倫映像集3の。その時に松尾さんは初めて劇場で観たらしいんですけど、『その時初めてライブテープの良さが解った』って」

松江監督「前野さんも言ってたそれ。最初はすげぇブツクサ言ってて」

今田監督「気に入らないっていうかやっかみ半分なんですよ。松江さんに対して」

松江監督「でもなんか来てくれるし観てくれるしね」

 

・ 今田監督「実はタイプがだいぶ違うじゃないですか。松尾さんと松江さんって。松江さんって意外と実は『あざとさ』がちゃんとある人じゃないですか。松尾さんは無いから」

松江監督「松尾さんって意外と天然なんですよね。だから早回しとかすんだよね。アレ信じられないもん。おかしいって映画でここから早送りになりますって。意味わかんないもん。その割りに松尾さん上映中に一番後ろでお客さんのリアクション見てて、笑いが起きる間とかで編集変えてたんだよね」

岩淵監督「ある上映の時に、僕、松尾さんと一緒に外に居たんですけど、(一番重要なネタバレの)シーンの直前になったらスッと中に入っていって、真後ろでお客さんのリアクションをニヤニヤしながら見てたんですよね。悪戯心というか、ホントに楽しそうにお客さん見てて」

今田監督「ナンカやっぱサービス精神なんですかね」

 

・ 松江監督「たぶんこういう(劇場でヒットする)の初めてだったから嬉しかったんでしょうね。AVは1対1でモニターで観るモンだったから」

今田監督「確かに今まで意外とHMJMの作品って上映とかしてたんだけど」

松江監督「その上映があんまり良くなかったらしいんだよ。私を女優にして下さいとか上映した時にお客さんがドン引きしちゃって『俺のAVは上映に向かない』って思っちゃったらしくて。だから上映ヤダヤダって言ってた」

今田監督「『俺のはそういうAVじゃないから』って言ってましたねそういえば」

松江監督「(去年の)年末にやったUNDERCOVERJAPANとか、さっき言ったパラダイスオブトーキョーとか、あとYOGAとか古い作品でもいっぱい上映したらいいんじゃないかと思って。スクリーンで観たら新しい発見があると思う」

今田監督「…ナンカ松尾ファン座談会みたいになってますね」

 

・ 岩淵監督「そろそろ終わりの時間なんですけど、最後に一言ずつ」

今田監督「テレキャノ以降、だいぶHMJMは変わってきました。良い意味でも悪い意味でも。AVというモノがなかなか売れなくなって、じゃあどうすればよいのかという時に原点に返れる作品だったんですよねテレキャノは。それ以降みんな自分たちが撮りたい物を撮り始めてやってます。だからAVってのは面白いんだぞと皆さんに知ってもらえるように僕らも努力していきますんで今後とも宜しくお願いします」

松江監督「僕が今田とトークショーをやったのは多分映画学校の卒業制作の熊笹の遺言のトークショー以来なんですよね。だから、まさかテレクラキャノンボールの上映でこうやって2人でまた話が出来るとは思わなかったので今日は僕にとって嬉しい日なんです。で、それがまたシネマロサという僕が好きな劇場で、HMJMにバイトで入ったばっかりの岩淵君が司会をするというのが本当に嬉しくて。僕は本当に普段人付き合いがあんまり無いので。ただやっぱり僕は人を見る目はあるんだなという自信を今日持ちました」

 

 最後に松江監督が今週土曜日に行われる鰻の男の松尾監督とのトークの告知をして終了。

 終演後、外に出ると雨が降っていました。関東地方は今日から梅雨入りです。