劇場版テレクラキャノンボール2013を毎日観に行っていた日記。

同じ映画を繰り返し観に行く、愛と狂気の日々の記録。

2月9日。上映後に松江哲明監督と松尾監督とのトークショー。

 劇場版BiSキャノンボール2014公開3日目です。4回目の鑑賞。

 初めての平日の上映ですが、この日も座席券は完売で、立ち見のお客さんがいらっしゃいました。

 私は最前中央のA-10席で鑑賞。…今、改めて半券を見直してみると発券時間が20:58!開演ギリギリですね。

 いつもよりちょっと遅く行ったら発券機に行列が出来ていて、おまけに私の数人前の人で発券機が用紙切れになってしまい、係の方が新しいロールに交換する作業などをされてました。

 この日は上映終了後にトークショーがあるからか、予告編無しの上映である旨が場内で繰り返しアナウンスされていたんですが、そんな中、用紙切れで係の人が裏に走って行った時は開演に間に合わないんじゃないかとヒヤヒヤしましたよ!ってか私の後ろにも行列が出来ていたんですけど、全員開演までにチケット発券出来てたんかなぁ?まぁとりあえず、時間には余裕をもって行動しましょうという事で。

 でも、今回のテアトル新宿での劇場版BiSキャノンボール2014の上映、今の所、ちゃんと予告編が流れたのって2月8日だけですね。オールナイトも初日も今回も予告編無し。毎日映画館に通ってるのに映画泥棒の映像も1回しか見てない。ちょっと寂しいw

 

 上映終了後、エンドロールで編集助言という肩書きでクレジットされている松江哲明監督をゲストに迎えてのトークショー

 最初にプロデューサーさんが出てきて挨拶と諸注意。

・ 松尾監督「えぇと…僕は…非常に出にくい印象があるんですけど、どうでした?」

  松江監督「僕は実はラスト30分が違うバージョンを観せて頂いて。(今日観たバージョンでは)編集助言で僕がクレジットされててビックリしたんですが。前のバージョンではウイカさんの所がサラッと流されてて、もっとゲーム性の高い内容だったんですよ。それがちょっとモヤモヤしていて。それを観た次の日にテレビブロスの対談で松尾さんとお会いしたんですけど、ナンカ松尾さんもモヤモヤしてるなと思って」

  松尾監督「ええと、説明しますと、スケジューリングの問題なんですけど編集がギリギリで、締め切りというモノが1回あったんで、それに対して120分のモノを1度上げてはみたんです。最終的に僕がテーマとして掲げていた解散ライブ終了後の彼女達というモノをバッサリ切ったモノを「そこでイイかな」と思って仕上げてしまった訳です」「僕の作品の中ではテレクラキャノンボールのようなアッパー系の作品は非常に珍しい。(相手の女性と)どうしても解り合えなかったりとか、セックスをしても余計に解り合えないというのが浮き出てしまっている時があって、そういう時に手法としてAVなのにスゴイ悲しいトーンで〆るというのがあるんですよ」

  松江監督「(今回の作品でも使われてた、HMJMファンにはお馴染みの)あの曲よく使われますよね!アレが流れると、松尾さん撮影の時にダウナーだったんだなぁと。ただ、僕はそういうダウナー系の松尾さんも大好きで。だからダウナー系になる構成もあったんじゃないですかって(対談の時に伝えた?)」

  松尾監督「松江君には見抜かれたなと思って」

  松江監督「最初アッパー系の編集だったんですよ」

  松尾監督「アッパー系というか、テレクラキャノンボールというスタイルに最後まで拘る編集の仕方をしてたんですね。でもそれを最終的に考え直して、BiSラストのパートを作った」

  松江監督「僕はそのバージョンを今初めて観て。ダウナーがキマってて、松尾ファンの僕はホントにあの、カッチョイイなと思いました。今日観てた方は解ったと思うんですけど、前半はテレキャノに近いようなウケ方をしていて、それが、途中で冷や水を浴びせられるような気がしたんですよ。その冷や水カンパニー松尾なのかなと思って。前半ウケてた分、中盤以降の部分は悪い意味での共犯者というか。渡辺さんがアイドルというのをどういう風に考えててどう見ているのかというのがそこで集約されている。で、その上での、キャノンボールらしさというか(これ以降の話はネタバレになるかなぁというか、読んでから観ちゃうとアレかなぁという気がするので省略)」

・ 松江監督「ドキュメンタリーが怖いなと思うのは、劇中でヒラノさんが『大人達は変だけど私達は平凡なんですよ』っていうじゃないですか。(だからそういう平凡なBiSのメンバーが)非凡な人とぶつかった時に凄く可哀想だし、その中でギリギリ出してくるモノってのが残酷であり、怖いなって思いましたね」

  松尾監督「今回編集には悩みぬいたんですけど、BiSというアイドルのドキュメンタリーであり、テレクラキャノンボールというドキュメンタリーなんですけど、それが完全に壊れてしまっているんですよね。今回はそれを強調して編集したんですけど、本当は(壊れている事なんて)強調したくなかった」「ウイカちゃんが怒るシーンは強いですよね。俺は編集の時にアレに持ってかれてしまって、すいませんって出てくるしかなかったんですよ」

  松江監督「松尾さんはそんなすいませんっていう必要無いですよ」

・ ラスト近くの We are BiS というテロップについて。

  松尾監督「今回はAV監督とアイドルという立場の戦いなんですよね。勿論戦いなんですけど、それは得点稼ぎではない。途中でキャノンチームの中で『ネタがバレてしまったので全部喋って一緒に戦おう』という意見が出て議論になった。でも、彼女達は脱げと言ったら脱ぐんですよ。だから、全部喋ってしまったらタダのエロポイントゲームになってしまう。それを僕は見たくなくて。そうじゃない状況でいかに人間関係だけでやってもらうかっていうのを見たかった」

  松江監督「僕はそうは思ってなくて、山下監督が今回『僕はAV監督なんで』みたいな感じだったじゃないですか。その接し方だと向こうも『私アイドルなんで出来ません』になっちゃうから、それを壊すのが共闘なんじゃないのかぁと。アプローチ自体が…そこはまぁねぇ。情熱的なドキュメンタリーって言ってる時点で。そこは(この作品のプロデューサーのスペシャの)高根さんが最初の時点で失敗しているなと」

  松尾監督「だからねぇ、これは敗戦ドキュメンタリーなんですよ」

  松江監督「僕はその面白さは出ていると思います!冷や水浴びせなきゃダメなんですよ!」

・ 松江監督「松尾さんが先週『ギリギリの事をやってる人でも結婚式はちゃんとする』って仰ってたじゃないですか」

  松尾監督「これは例え話なんですけど、解散ライブって結婚式みたいなモンじゃないですか。彼女達もアイドル時代ヨゴレもやって色んな事があったけど、最後はちゃんと式を挙げたい。でも、結婚式の前の晩にコンコンって(ドアのノックして)やってきて『すいませんもう1回ヨゴレやって下さい』っていうのは確かにねぇ」

  松江監督「あんまり非常識な結婚式やる人って実はあんまり居ないじゃないですか」

  松尾監督「だから今回は非常に苦しい感じをまだ引きずってて。研究員の方も観てくれてると思うし、キャノンボールから流れた人も観てくれてるしでぐちゃぐちゃした気持ちだと思うんですよ」

  松江監督「僕はこのバージョンは直さないで欲しい。松尾さんテレクラキャノンボールの時もちょこちょこ直されてたじゃないですか」

  松尾監督「笑いのタイミングの問題とかもあるんで細かい所は直します」

・ 松尾監督「ホントにねぇ、思う所は色々あると思うし、色々書いて貰って良いと思うんですけど。…(それを読んだ)俺が毎回こういう元気無い状態で(舞台挨拶に)登場するんですよ」

  松江監督「全然気にする事無いですよ!それは松尾さんがテレクラキャノンボールを引きずってるからじゃないですか」

  松尾監督「自分で分析したんですけど、俺は今回監督とプレーヤーの二刀流ですよ。(日ハムの)大谷ですよ!そんな感じの俺が、ピッチャーとしてデッドボール3つ位ぶつけた訳ですよ。そんな俺がね、試合後にヒーローインタビューは大谷さんにって言われて出てきて、今日はどうでしたかって聞かれて喋れる訳ないですよ!」

  松江監督「映画はデッドボールでもそれがちゃんと映ってれば良いんですよ。お客さんが判断してくれると思うんで」

  松尾監督「そうなのぉ?」

・ 松江監督「松尾さんは今回デッドボールをちゃんと形にした。松尾さんは今まで何百本もAV撮ってきて、手強い単体女優さんとの負け試合を編集でバスっと切って『そういうお前は何なんだよ!』ってやってきたじゃないですか」

  松尾監督「…そこまでBiSに対して出来ないしねぇ」

・ 松江監督「良いドキュメンタリーだったと思います。すいませんって言う必要ないですよ」

  松尾監督「(舞台に立ったら)顔上げろって言われてるんですよ」

  プロデューサーさん「顔を上げて頂いた所で写真撮影を」

  松尾監督「写真ですか?!いらないでしょう!」

 って事で最後に写真撮影タイム。撮った写真を見直してみたら松尾監督がうなだれてたり、首をひねっていたり、腕組みしてウーンってなっていたり、力無く笑っていたり、というような写真ばっかでちょっと面白かったです。

 写真撮影中も「平日の月曜日にこれだけお客さんが入ってるってだけで凄いですよ!インディペンデントの監督なんてみんな怒りますよ!」「BiSのメンバー本人も言ってましたけど、凡の人と非凡な人がぶつかったらこうなりますって!」など、松尾監督を慰める松江監督。