劇場版テレクラキャノンボール2013を毎日観に行っていた日記。

同じ映画を繰り返し観に行く、愛と狂気の日々の記録。

7月3日。35回目。トークゲストはモルモット吉田さん。

 ポレポレ東中野での上映12日目。トークショーの出演は映画評論家のモルモット吉田さん。

 この日は表のウィンドウへの貼り紙のみで入り口には貼り紙なし。

 開演の30分ほど前に受付して59番でした。

 開場。ほぼ満席。予告編の上映時にパイプ椅子を出している音が聞こえました。

 

 

上映後、休憩を挟んでトークショー。以下、トークショーの内容メモ。

・ 冒頭は作品のネタバレに関するお話(内容省略)。

 

・ 「吉田さんとお会いするのは初めてで…」と松尾監督が切り出す。

 吉田さんは松江哲明監督と仲がよくて、普段よく松尾監督についてのお話を松江監督から聞いているとの事。

 今では仲の良い松江哲明監督と吉田さんが初めて会ったのは昔のアップリンクビームスの前にあった時代)で行われたHMJMの設立記念オールナイトイベントだったというお話。検索したら吉田さんのその日のブログが引っかかりました。→

イベント 『愛と残酷のアダルトビデオ上映会とライブ』 - 映画をめぐる怠惰な日常2

 その日は平野監督や林由美香さんもいらしていたとの事。それから10年の月日が立ち、ようやくこういう風に会う事が出来た。

 

・ 吉田さんが始めて松尾監督の作品を観たのは97年。その年に『由美香』が東中野で上映され、それがきっかけでV&Rの作品を観始めた。

 

・ 松尾監督は映画に対する思い入れはゼロ。実は『由美香』が劇場公開された時も「AV版を観てるから、それを縮めただけでしょ?」と思って観に行かなかったそうです。平野さんの盛り上がりもよく解らなかったと仰っていました。

 

・ 松尾監督「自分の作品を映画館で公開したいとはクソとも思っていなかった」「僕は映画に対する思い入れは何も無い人間だから」

 

・ 『由美香』の影響で吉田さんや松江監督はAVと映画を平行に観るようになった。

 

・ 『由美香』が東中野で公開された時、庵野秀明監督が観に来て大変影響を受けたという話から松尾監督とバクシーシ山下監督が監督を務めたLOVE&POPのメイキングのお話へ。

 今まで庵野さんはガイナックスにこもりっきりだった。

 松尾監督「そんな環境でエヴァのTV版を作った時に、庵野さんの人格が、人間が、完全に壊れたんですよ」

 ガイナックスのスタッフはアニメーションのスタッフなので庵野さんが壊れていってるんだけど、それをカメラに残す事はしてなくて『庵野が壊れた』という伝説だけが残った。その話を聞いた時に映画のスタッフが『何故カメラを回してなかったんだ、勿体無い』という話になり、実写映画の製作時に『また庵野監督が壊れたらそれをカメラにおさめよう』という事でその様子を撮れる監督として松尾監督と山下監督が起用された。

 映画の現場に初めて行った時に1日がかりで自転車のカットのみを16カット撮っていたのを見て「これはやってられない」と思った。

 松尾監督「庵野さんは好きです。アガリ(出来上がった作品)も好きです。でも映画の現場は好きじゃない」

 平野さんが流れ者図鑑のロケに出発する場面や、山下監督が池袋のテレクラで捕まえたガチの援助交際の女性にインタビューしている場面、「制服の女子高生に1ヵ月半も振り回されている映画の現場に対するアンチテーゼとして、俺なら30分で出来るぞ」という事で制服姿の女性をトイレでハメ撮りした場面、などの説明。

 

・ 松尾監督はこのメイキング以外にも庵野監督が作ったガメラ3のメイキング・GAMERA1999の冒頭にも登場するという話から、

 吉田さん「松尾さんは常に映画の近くにいらっしゃるイメージがあった。それがようやくこのテレクラキャノンボール2013が劇場でかかることになって、スクリーンで松尾監督の作品を観る事が出来て嬉しい」

 

・ 吉田さん「今、時代的に松尾さんが作っている作品のようなモノが受け入れられやすくなっている。松尾監督が映画に近づいていってるのではなく、松尾監督がやっていた事に映画の方が近づいてきた」

 松江監督のドキュメントや大根監督の作品などについて。

 

・ 松尾監督「自分はフィクションが撮れない、撮っても下手」

しかし

 「同じ『映像を作っている者として』フィクションに対して『何故あんなに日数をかけて、予算をかけて、人手をかけて、つまらないものを撮っているんだろう』という思いがあった」

 吉田さん「でも最近、松尾さんが大根さんの恋の渦や、山戸監督の作品を褒めているのが意外だなぁと思った」

 松尾監督「フィクションでも面白けりゃいいんですよ」

 

・ キャノンの登場人物はキャラがたちまくっているという話。キャノンの出走者は色んな視点で観れる。吉田さんはバイクや車に興味がないのでみのる監督に感情移入する。

 

・ テレクラや出会い系をやっている女性について

 松尾監督「僕はああいう人たちが好きで。普段の通常の付き合いでは引き出せないモノを持っている。僕はそういう世界をゴソゴソ探っているのが好き」

 「今回の作品で好きなのはセックスが終わった後の会話。どうしても切れなかった。」

 裸でセックスをしたあとだからこそ撮れる、普通のドキュメントで撮れないような映像であるというお話。

 今回の作品を観たカウンセラーの人から「(虐待を受けた)ああいう子たちのああいう(自然な)姿はカウンセリングの場では見れない。貴重だ」という話をされたそうです。

 札幌で山下監督が撮った10代2人組のうちの性的虐待を受けていた子の方が、話の最後に「ウケル」とつけているのはそのカウンセラーの方曰く『コミュニケーションの断絶』。あれが映像におさまってるのは本当に貴重だと言われた。

 

・ (ネタバレに関する話なので具体的な内容は省略)松尾監督やみのる監督がああいう場面でああいう言葉をかけるのは女性に対する敬意が染み付いているのは女性がいないと仕事が出来ないAV監督のサガ。脱いでくれるなら僕らにとっては女神。

 

・ その後ネタバレに関するお話(内容省略)。

 

・ 今後の上映について

 まだ発表されていないが、四国の高松の普通の食堂での上映など、面白い場所での上映が決まっているそうです。

 実はテレクラキャノンボール2013は映倫を通していないので上映出来る映画館が限られる、シネコンなどでは上映出来ないというお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※ 庵野監督との関わりについては色々な作品に残ってるし、当事者が語っているのを聞く機会も多いのですが、私はその時代にこのあたりのカルチャーに全く興味が無く、後追いで勉強してる人間なので、その時代の空気感とか周りの状況が実感として全くない&ほとんど理解してないです。

 だから、喋ってらした事を現場で聞いて、それをそのままメモして、それをここに写してるという心許ない状態になっております。

 『ガメラ3の時代』みたいな言い回しあるじゃないっすか。多分それが該当するんだろうなぁ、とは思うのですが、ホント情報だけが頭の中に並んでて全く消化出来てないんすよ。脳が拒否してるのかってくらい理解が進まない。消化する為の酵素を持ってないみたいな感じなんです。なので、その時代の雰囲気を掴む為のお勧めの本などがありましたらtwitterででも教えて下さい。